2008年7月16日水曜日

『機関銃の社会史』(ジョン・エリス)……組織論の教科書?

面白い本を読んだので、メモしておく。機関銃がどのように軍隊で受け入れられていったかを書いたもの。驚くなかれ、何れのヨーロッパ軍隊においても、長い間機関銃に対する強烈な拒絶反応があったというのだ。いくら政治家が機関銃を活用するように命令しても、軍隊ではギリシャ・ローマ時代からの軍事「教科書」に書いていないものはとにかくダメという頭の固いお偉さんがほとんどだった。「フェアじゃない」というのもあったらしい。

おかげで歩兵密集戦法がそのまま第一次大戦まで温存され、何十万人の兵士が「屠殺」されることとなった。大将がアホだと、兵隊さんがたくさん死ぬのである。

アメリカのカスター将軍も支給されていた機関銃を持って行かなかった。おかげで第七騎兵隊は全滅してしまったという。アホな将軍はヨーロッパだけにいたわけでもなかったのだ。

ある意味では、現在の「大量破壊兵器」と同じである。機関銃も最初は「最終兵器」として恐れられたが、次第に対処の仕方が研究され、敵が機関銃を持っていてもこわくないようになった。核兵器も同じで、闇雲の「フェアじゃない」などといって存在自体を否定していると、いつまで経っても「最終兵器」のままで、持っているものだけが得をすることになる。

組織論として読んでも面白い。平和時の軍隊ほど、組織と意識が硬直してしまうのである。規制に守られた既得権集団と全く同じ。特にニッポンの農業なんか「歩兵密集戦法」の最たるもの。

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